30代は体力が落ちる?対処法や疲れた時の疲労回復法をご紹介します

この記事の執筆者

和田拓巳

フィジカルトレーナー

和田拓巳

プロスポーツトレーナー歴 20年  プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院勤務で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。 現在、様々なメディアで執筆活動・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。 2021年11月 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)

「以前より疲れやすくなった」「昔に比べ体が動かなくなってきた」
ふとしたことでそのように感じることが増えるのが30代。
年齢とともに体力が低下するのはわかるけど、まだまだ30代には関係ないと思っている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、体は何もしなければ着実に衰えてきます。

今回は加齢とともに衰える体力について考えるとともに、体力の低下が気になりだす30代の方に向けて対処法や疲労回復法を紹介していきます。

 

加齢とともに衰える体の機能

人間は常に体の変化を繰り返しながら生活をしています。目で見えるものでいえば、身長や体重などの体組成。
それと同様に、目で見ることのできない「体の機能」も年齢や生活環境によって変化するのです。
まずは、加齢とともにどのような機能が衰えるか確認してみましょう。

 

●筋力

生まれたときは筋肉量・筋力ともに少ないため、立ち上がることができません。年齢を重ね成長していくにつれて筋肉量が増えていき、いろいろな動きができるようになってくるのです。一般的に筋肉は20歳ごろまでは成長し、20歳をピークに徐々に減少していくとされています。

30代ではまだまだ減少量は少ないものの、20代に比べると徐々に筋肉は衰えはじめているのです。

 

●心肺持久力

長時間体を動かし続ける持久力も、年齢とともに低下してしまいます。
専門的に言うと、心肺持久力は「最大酸素摂取量」という数値で計られます。
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の消費量が多いほど、たくさんのエネルギーが作り出され体を動かすのに使われます。取り込む酸素量や使われる酸素量が多いほど体を長時間動かすことができるのです。

和田拓巳

昔は部活動などで散々走っていたのに、今では少し走っただけで息が切れてしまう…という方も多いのではないでしょうか。それは最大酸素摂取量が低下しているからかもしれません。

 

●柔軟性

体の硬さである柔軟性。柔軟性の低下は筋肉の硬さによるものです。柔軟性も急激に低下するということはありませんが、だからこそ普段気づきにくい機能の低下だといえるでしょう。

和田拓巳

筋肉が硬くなると関節の動きを制限してしまうため、無理な動きなどにより体を痛めてしまうリスクも高まります。

 

●神経機能

思ったように体を動かすといった神経の伝達機能も、年齢によって徐々に衰えが見える機能です。
神経機能は30代で大きく衰えることはありません。しかし、ほんの少しながら「脚が上がらない」「つまづきやすくなった」など筋力や柔軟性の低下と合わさることで、些細なことが以前よりも動かしにくいと感じることもあるでしょう。

 

30代から衰える理由

では、一体何が原因で体力が衰えていくのでしょうか。

 

●運動量の低下

年齢によって起こる機能の低下の大きな原因の1つが、「運動量の低下」です。体の機能は使わなければどんどん衰えていきます。

便利なものがあふれる現代、移動は車が主になり、歩いていてもエレベーターやエスカレーターが当然のように設備されています。買い物へ行かなくても宅配で何でも済ませますし、休日も家の中で楽しめるコンテンツが沢山あります。その結果、体を動かす機会が昔よりも大幅に少なくなっているのです。

 

●日常でのストレス

20代に比べると生活の内容が変わってきます。仕事中心の生活になったり、子どもが生まれて家事に追われるという生活になる時期です。
忙しさにより運動時間を作ることもできませんし、日常時の疲れから運動をする気にもなりません。

また、仕事や家事などの日常的なストレスによって体調が不安定になり、その結果体力も低下してしまうということにつながる場合も多いです。

 

●乱れた食生活

体の衰えは、日常生活の活動だけでなく、食生活にも影響を受けます。

 
①食事量の増加

運動量が低下しているのに食事量が変わっていなければ、体脂肪の蓄積につながります。また、ストレスなどから過食や甘いもの・お酒などの嗜好品の摂取量が多くなっていないでしょうか。

 
②食事の時間が遅い

忙しいなどの理由で食事の時間が夜遅くなると、脂肪を溜め込む働きを持っているBMAL1(ビーマルワン)というたんぱく質が活発になり体脂肪が蓄積しやすくなります。

 
③早食いをしている

早食いは満腹中枢を刺激しにくく、よく噛んでゆっくりと食べるのに比べ、食事量の増加につながります。
 
このような食事の仕方は、体脂肪の蓄積につながり、結果「体が重くなり、疲れやすくなったり動きにくくなる」→「動くのが億劫になり活動量が減る」→「体重が増える」という悪循環をもたらします。

 

●栄養バランスの乱れ

食事の仕方だけでなく、摂取する栄養素も体を作る重要な要素です。忙しさから偏った食事が増える30代は、栄養バランスが乱れがちです。

特に、ダイエットのために食事制限をしている人は要注意。食事量を少なくすることでたんぱく質量が極端に少なくなってしまい、たんぱく質の不足から、筋肉の分解を促し、筋肉量の低下・筋力の低下をもたらします。

また、たんぱく質だけでなく、しっかり活動できる体を維持するために必要な、体調を整えたり代謝を促すビタミン群や、体の機能を維持・調整するミネラルなどもしっかり摂取しておかなくてはいけません。

 

体力を落とさないためのポイント

体力の低下は、日頃からの心がけで予防することができます。
そのために必要なのは「運動」・「栄養」・「休養」の充実とバランスです。

 

●運動習慣をつける

体力を落とさないためには、普段からの体の活動量を増やすことが必要です。
わかっていても運動が続かない…という方も多いはず。そんな方は少し工夫するだけで、運動に対するモチベーションを維持することができます。

①成功する目標設定

まずは目標を設定してみましょう。この時、体力を向上させるなどのあいまいな目標設定はNGです。具体的に「〇kg痩せる」とか「1日〇歩歩く」などの具体的な数字を用いて設定しましょう。

運動を初めたばかりの時は、運動頻度を多くすることを目標にしましょう。1回あたりの運動時間は長くなくてもOK。1回10分でもいいので週3~4回は必ず運動するなどの目標を立て、運動習慣を身につけましょう。

 
②運動をスケジュールに組み込もう

運動習慣を身につけるためには、運動をする予定をあらかじめスケジュールに入れておきましょう。
空いている時間でやろう!というのでは運動は続きません。

オススメは朝。朝は急なスケジュールが入らず、少し早起きすれば時間を作ることができます。また、その後一日脂肪が燃焼しやすい体になります。

 
③成果を確認する

定期的に体組成をチェックし、データを残しておきましょう。
見た目の変化も重要。運動開始前に全身の写真をとっておき、定期的に全身写真を撮ると、変化を確認することができるのでオススメです。

その他にも運動仲間をつくったり、フィットネス用品・サプリメントなどを新調するのもモチベーションを高めるポイントになります。

 

●食生活を見直す

運動と同時に食事の仕方や食事内容も見直しましょう。
「食事量を少なくする」「食事時間を早める」「早食いをしない」ということを常に心がけておくことでも体は変わってきます。

また、食べるものもたんぱく質を中心としたバランスの良い食事を選ぶとともに、お酒・たばこ・甘いものなどの嗜好品の摂取を少なくするように意識するとよいでしょう。

 

●休養時間をしっかり確保する

忙しい毎日を送っていると、おろそかになりがちなのが休養。特に睡眠時間は削られることが多いのではないでしょうか。
睡眠不足になると、筋力や持久力の低下、集中力が低下するなどの影響があらわれます。
また、睡眠時間の減少によるホルモンの働きにより体重が増えたり、免疫力が低下するなど、健康に与える影響も大きいものです。

体を作るためには運動や栄養摂取に気をつけていても、休養がしっかりとれていなければ体は変わりませんし、日々の疲れを解消することもできません。
普段から体を休める時間を作ることも、体力低下を防ぐポイントなのです。

 

おわりに

30代は年齢的にもまだまだ若く、活動的に動ける年齢です。このころから体力をつけることを日常の習慣として身につけておくことで、生涯を通して活発で元気に過ごすことができるようになります。
いま、体力低下を実感している30代の方は、生活を見直し、体力維持・向上を目指しましょう。

 

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