この記事の執筆者
フィジカルトレーナー
和田拓巳
プロスポーツトレーナー歴 20年 プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院勤務で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。 現在、様々なメディアで執筆活動・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。 2021年11月 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)
下半身のボディラインの中で目立ちやすいのが「ふくらはぎ」。ふくらはぎは露出が多いので、脚の太さの印象を大きく変える部位とも言えます。
ふくらはぎは、脂肪がつきにくい部位です。しかし、「ふくらはぎが太くて…」という方が多いのも事実。
ふくらはぎが太いのにはいくつかの原因があります。今回は「ふくらはぎが太い」というお悩みの方に向けた対策を紹介していきます。
筋肉太りとは?
ふくらはぎが太い原因の1つに「筋肉太り」といわれるものがありますが、これは少し語弊があります。「〇〇太り」とつくと、良くないイメージがあると思いますが、決して太っているわけではなく、筋肉の肥大やつき方によって、太く見えているだけなのです。
とはいえ、筋肉がついていることが悪いことではないと分かっていても、脚の太さが気になる…という方もいるでしょう。そのような人はどのような対応をすればよいのでしょうか。
ふくらはぎが太くなりやすい理由
そもそも、なぜふくらはぎが太くなりやすいのかを学んでみましょう。
ふくらはぎは、立位の姿勢を保つために常に重力に抵抗して力を発揮している「抗重力筋」の1つです。また、歩くときにも常に使われているため、ふくらはぎの筋肉は休むことが少なく刺激を受け続けているのです。そのため、筋肉がついて太くなってしまうのです。
また、疲労により筋肉の緊張が強くなり、筋肉が張ることで太くなってしまうこともあります。
筋肉太りかどうかの見分け方
ここではふくらはぎが太くなっている原因が何か探ってみましょう。
①筋肉のバランスが悪い
以前にスポーツをしていた人などに多く、ふくらはぎの筋肉が発達しているために太く見えてしまっている状態です。これが「筋肉太り」といわれています。お腹のように柔らかい肉(脂肪)とは異なり、硬く締まった状態のふくらはぎは、筋肉による太さの可能性があります。
ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋という2つの筋肉がついています。腓腹筋はふくらはぎ上部のボコッと盛り上がった筋肉、ヒラメ筋はふくらはぎ中部~足首にかけて横に広がって見える筋肉です。この2つの筋肉のバランスが悪くなると、メリハリのないふくらはぎになってしまいます。
残念ながら筋肉の形は生まれつき決まっているので、もともと太く見えやすい形をしている人もいるかもしれません。
②むくみ
ふくらはぎが太くなる多くの原因は「むくみ」です。むくみは、脂肪が蓄積しているわけではなく、水分が溜まることによって太くなってしまっている状態です。重力の影響によって体液は下の方に流れやすくなっています。本来であればふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩することによってポンプのような役割を果たし、心臓へ体液を押し戻すのですが、座りっぱなしや立ちっぱなしなどふくらはぎをほとんど動かさないような時間が長い人は、このポンプの働きが行われずにむくんでしまうのです。その他、むくむ原因としては筋力不足や疾患によるもの、塩分の摂り過ぎなど色々な原因が考えられます。
夜に脚が太くなったり、ふくらはぎを指で強く押して離した時に指の形に凹んで元に戻るのが遅い人は、むくみタイプといえるでしょう。
③皮下脂肪の蓄積
脂肪が蓄積してふくらはぎが太くなっている場合もあります。運動不足や栄養過多によって、体脂肪が体全体に蓄積している人に多い状態です。体脂肪率が高めな人や、ふくらはぎに張りがなくタルタルしているひとは脂肪の蓄積が原因といえます。
筋肉太りしないポイント
筋肉太りを解消するには、筋肉を落とすのではなく筋肉のバランスを整える必要があります。
筋肉を落とすのはNG
筋肉太りときくと、筋肉を落とせば細くなるのでは?と考える方もいるかもしれませんが、それはNGです。なぜなら筋肉を落とすことで足が疲れやすくなったり、代謝が低下してむくみやすくなるなどの影響が出てきてしまうからです。
あくまでも筋肉はしっかりつけておく、ということを頭に入れておきましょう。
筋肉を落とすのではなく、筋肉のバランスを整える
では、筋肉で太くなったふくらはぎはどうすればよいのでしょうか。
先述の通り、腓腹筋とヒラメ筋で構成されるふくらはぎは、ヒラメ筋が発達しているとふくらはぎが横に広がるため、太く見えてしまう場合が多いのです。腓腹筋をしっかり鍛えつつ、ヒラメ筋を肥大させないようにすると、足首が細く盛り上がった部分が高い位置にあるすらっとしたふくらはぎを作ることができます。
筋肉太りを解消する方法3選
ふくらはぎの太さを解消するには、どのような事に気をつけるとよいのでしょうか。ここでは筋肉太りを解消する方法を紹介します。
歩き方に気をつける
腓腹筋とヒラメ筋の筋肉のバランスを整えるために注意するポイントは歩き方です。横に広がるヒラメ筋に負荷がかからないような歩き方をする必要があります。
ヒラメ筋は膝が曲がった状態でつま先を伸ばす際に力を発揮します。そのため、姿勢が悪く膝を曲げた状態で脚を地面につくような歩き方はNGです。体全体の姿勢を良くして膝をしっかり伸ばし、カカトから地面につくように気をつけましょう。
エクササイズを行う
筋肉太りだからエクササイズをしたらより太くなってしまうのでは?と思う方もいるかもしれませんが、筋肉のバランスを整えるためにはエクササイズは不可欠ですし、筋肉太りと思っていても実は筋肉の緊張が強かったりむくみである場合もあります。その際にエクササイズは有効です。
行うエクササイズは「カーフレイズ」。腓腹筋を刺激するには、膝をしっかり伸ばしたやり方を行いましょう。膝を曲げてしまうとヒラメ筋に刺激が入ってしまいます。
1.腰幅程度に足を開き、立ちます。壁などに手をついて体を安定させましょう。
2.カカトを地面から浮かせ、つま先立ちになります。
3.あげられるところまで行ったらゆっくりと元の姿勢に戻ります。
4.この動作を繰り返します。
この時のつま先の向きもポイント。ふくらはぎの外側が太くなっていると感じる人は、つま先を外側にしてふくらはぎの内側を刺激し、ふくらはぎの内側が太くなっていると感じる人は、つま先を少し内側にしてふくらはぎの外側を刺激すると、バランスの取れたふくらはぎを作ることができます。
歩く際の靴にも注目
普段よく履く靴にも注目してみましょう。ヒールなどカカトが高い靴は、つま先に重心がかかりやすく、ふくらはぎをいつも以上に刺激することにつながります。
また、ふくらはぎを酷使することによって筋肉の緊張が高まりやすく、筋肉が硬くなったりむくみやすいなどの影響も。普段履きの靴は、できるだけスニーカーのようなふくらはぎに刺激が少ない靴を選ぶとよいでしょう。
まとめ
ふくらはぎが太い原因は色々ありますが、どんな原因でもふくらはぎだけを細くするということは難しいものです。体全体の筋肉が引き締まるように、普段から運動を心がける必要があります。その上でふくらはぎを鍛えることによって、筋力がつけば引き締まって細くなりますし、筋肉タイプの人でも形のいいふくらはぎを作ることができます。
運動習慣をつけるとともに、積極的にふくらはぎのエクササイズに取り組みましょう。